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【藤井厳喜アカデミー第2弾】日本を復活させる智恵 《第4講:「経済常識」の非常識!?》最終講・総集篇

投稿日:2011,07,27

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   今回が経済講座の最終回になります。
藤井厳喜アカデミーの第1弾は「国民の為の政治学」でした。

アカデミー第2弾の講座名は「日本を復活させる智恵(経済篇)」となっていますが、内容は「国民の為の経済学」と呼んでもよいものです。

 通貨、市場、資本主義、デフレギャップ、等という本質的なことについて、深く考えてみました。
普通の経済学の本には書いていないような内容です。
しかしこれらの考え方がよく理解できれば、現在私たちがどのような経済政策をとればよいのかということも明らかになります。

学問というのは、面白いもので、より原理的な原則的な理解が深まれば、「現在、何をしなければならないか」という実践的な面でも、より現実的なよい智恵が湧いてきます。

世に一般に流通しているレベルの低い「常識」に洗脳されている内は、明確にものを考えることができません。
明確にものを考えることが出来なければ、正しい問題解決の方法を見つけることもできません。

少々、難しい言い方になるかもしれませんが、学問で大事なのは、「区別」と「関係」です。

この事を念頭において、この国民の為の経済学講座を勉強して頂ければ学ぶところは多いと思います。

分からなければ、是非、繰り返し、ご覧になってください。

※ 藤井厳喜アカデミー第2弾・全篇通しての復習は、以下の再生リストをご利用ください。
 【アカデミー第2弾・経済篇・全篇再生リスト】 http://www.youtube.com/playlist?list=PLE4F42E64ED2C36F7&feature=mh_lolz

皆さまからの質問、ご意見等をお待ちしております。


藤井厳喜アカデミー第2弾4講「経済常識」の非常識!? 前篇[H23/7/22]


 YouTube : http://youtu.be/guZoMztMOC4
 ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/watch/sm15091413

前篇《要点1:デフレギャップと需給ギャップの違いについて》 
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「デフレ・ギャップ」は、国民経済における潜在的な供給力と現実の需要の差(ギャップ)のことです。
これに対して「需給ギャップ」というのは、企業の生みだす製品と社会の欲している商品が、合致しないことです。
つまり、供給側と需要側の内容にギャップがあることです。
デフレギャップと需給ギャップは、全く別の概念ですので、その違いに注意してください。

 今日の日本経済には厖大なデフレギャップは存在しますが、需給ギャップは存在しません。

《要点2: 正統派ケインズ主義と俗流ケインズ主義の違いについて》
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 このテーマについて、多くの方から質問を頂いたので、もう一度、詳しく説明します。
正統派ケインズ主義の意味するところは、一国の経済における需要と供給の調整です。
需要と供給を調整し、経済を持続的に発展させようというのがケインズ主義の本来の考え方です。

 これに反して、「俗流ケインズ主義」は、増税して「大きな政府」を作り、国債発行で景気対策を行なうが、これが将来における増税に帰結してしまうような経済政策のことです。

「俗流ケインズ主義」は、イコール「大きな政府」であり、この場合「大きな政府」が意味するのは、
1)公務員の増大、2)増税、3)国債乱発(これが将来の増税に再び繋がる) 4)政府規制の強化です。

 今日におけるケインズ経済学批判と言われているものは、実はこの「俗流ケインズ主義」に対する批判にすぎません。


《要点3: 国債は増やしても大丈夫》
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 国債が国内で消化されている限り、マクロ経済学的に見れば、国債の増発を恐れる理由はありません。
ある時点で、国債を全て償還しなければいけないとします。
つまり国家政府の借金を全て返さなければいけないと仮定します。
この場合、財源は増税しかありません。

国民に増税の負担をしてもらって、政府の借金を返すほかに方法はありません。
政府は誰に対して借金を返済するのでしょうか?
借金を返してもらうのもまた、国民です。

 つまり、国債の償還(政府の借金の返済)とは、国民からお金を取って、国民から増税という形でお金を集めて、それを国民に返済するということに過ぎません。
お金の流れは、国民→政府→国民ということになります。
国民が支払う増税分は、再び国民のお財布の中に戻って来るのです。
ですから、国民経済全体としてみれば、国債の増加は、全く困った問題ではないのです。
奇妙に思われるかもしれませんが、借金を返済してもらうのもまた国民であるということが分かれば、以上の説明に納得して頂けると思います。

 問題は、初めに国債を増発して支出した政府予算が誰の為に使われたかということです。
政府の支出は、全体として国民の収入になっているのですから、これもまた問題はありません。
しかし政府支出の内容が、ある部門に偏っていたとすれば、民間経済のそのセクターのみが優遇されたことになります。

例えば政府がダムや高速道路ばかり作っていれば、建設会社や土木会社のみが直接の受益者となります。
その他の経済部門の人々は、直接の利益を被りません。(間接的には、利益は社会を循環しますが)
そこに不公平感が生まれるのは確かです。

 また、国債の変換の際にも若干の不公平が発生します。国債を所有していた国民は、元本の他に利息を受け取りますから、得をします。
これに対して国債を持っていなかった国民は、増税の負担だけを強いられて、利息はもらえませんから、損をします。
ここにも不公平感は生じます。

 以上の様な不公平感を如何に調整するかは、議会制デモクラシーに任された使命です。


《要点4: 資本主義の集中原理と拡散原理》
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資本主義とは、資本が自己増殖してゆくような経済システムのことです。

この資本主義という仕組みには、「拡散原理」と「集中原理」の2つの原理が存在します。

 よく、資本主義は、金持ちが益々、金持ちになるような経済システムであると批判されます。
これが意味するのは「資本の集中原理」です。

資本は、繰り返し投資されて、増殖してゆきますから、お金もちが益々お金もちになる、という傾向は確かに存在します。
例えば、マルクス主義者を始めとする社会主義者や共産主義者達は、この点のみをあげつらって、資本主義を攻撃しました。

 しかし、資本主義には、全く異なった一面も存在します。それが資本の拡散原理です。
資本は自己増殖する為には、投資されなければなりません。

投資されるということは、資本が常に新しいビジネス分野に向かって「拡散」してゆくということです。
新しい産業分野に資本が投資されることによって、その分野で新しい技術革新を促し、新たなる雇用を生み、新たなる経済成長を引き起こします。
若くてやる気のある起業家や技術者に、ビジネスを起こす機会を与えられるのは、資本主義にこの拡散原理が存在するからです。

また、資本は国境を越えて、低開発地域にも流入し、その地域における経済発展を促します。
その地域における新しい雇用を作り、貧困を改善し、経済発展を実現します。
このように資本の拡散原理には、社会の均衡ある発展を促進するというプラスの側面が存在します。

 資本主義を単に、集中原理の視点のみから批判するのではなく、拡散原理の視点からポジティブに評価することも必要です。



藤井厳喜アカデミー第2弾4講「経済常識」の非常識!? 後篇[H23/7/22]


 YouTube : http://youtu.be/guZoMztMOC4
 ニコニコ動画: http://www.nicovideo.jp/watch/sm15092252


《後篇:成功した「民間通貨」という実験》

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 ※ 今回の講義の中で御紹介しましたエピソードを更に詳しく学ばれたい方は、私が以前に書きました『劣化列島 日本 』の第5章を御参照ください。

 世界大恐慌に襲われていた戦前のドイツとオーストリアで、民間通貨が発行され、大不況を一掃することが出来たという歴史のエピソードを紹介します。

話はシルビオ・ゲゼル(1862 - 1930)というドイツで生まれ、アルゼンチンに渡った実業家、兼・経済学者の理論から始まります。

ゲゼルは本来あるべき通貨はどういうものが望ましいか、と深く考えた結果、「老化(劣化)するお金」という結論に達しました。

お金が人間を支配してしまうのは何故か。
それはモノは劣化するのにお金は劣化しない、だから誰もモノよりもお金を好むことになる。
そこからお金と人間の逆転現象が生まれてきます。
本来、人間の交換の道具であるはずのお金が主人公になり、人間を支配するような逆転現象が生まれて来るのです。

あらゆる商品は時が経つにつれて質が悪くなってゆきます。
これは、工業製品に関しても食料品に関しても同じことです。
日常生活に必要なモノは必ず時間と共に老化して、その価値を徐々に失ってゆきます。
そこで、通貨もそれと同様に、劣化するのが正しい在り方なのだ、とゲゼルは考えました。

例えば、今10万円の価値のある通過が、来月は9万円の価値しかなく、更に2カ月後は8万円の価値しかないというような、時間と共に老化してゆくお金を作ればいいと考えたのです。
そうすると、そのお金は今直ぐ使った方が得ですから、確実で迅速な交換を促します。
つまり、お金をため込むということは少なくなり、お金が社会に出まわって流通するので、景気をよくすることが出来ます。

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 このゲゼルの考え方が、1929年、ドイツの現実のモノとなり、「ヴェーラ」という自由通貨の発行が始まりました。
1929年10月というと、あの世界大恐慌がニューヨークの証券取引上から起き、世界に大衝撃を与えた時です。

ヴェーラは瞬く間にドイツ中に普及し、2年間で1000社以上の企業がヴェーラ交換組合に加入しました。
加入企業はドイツの全ての地域に分布し、加入企業の職種も多様でした。

 やがて町ぐるみでこのヴェーラを採用するところも出てきました。
それはドイツのバイエルン地方の炭鉱町、シュヴァーネンキルヘンという町でした。

ヴェーラの流通によって、この町は不況を脱することができました。
ヴェーラは、ドイツ中で、沈滞した経済活動を再活発化することに、非常に効果がありました。
しかし、ドイツの中央銀行は、ヴェーラの流通拡大に危機感を覚え、1931年11月にヴェーラを禁止してしまいました。

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 しかし、1932年、オーストリアのチロル地方のヴェルグルという町で、ヴェーラによく似た「労働証明書」という劣化する通貨が発行され、やはり、この町の経済活性化に成功しました。

 以上のようなエピソードを紹介したのは、通貨というものに対する固定した旧い観念を皆さんに一掃して欲しいからです。
通貨は中央銀行のみが独占的に発行するだけではありません。
中央銀行が発行する通貨のみが、唯一正統なものではないのです。
国民は、自ら通貨を発行することも出来ます。
個人小切手などは、通貨の一種と見なすことも出来ます。

地域通貨というものが、あってもおかしくはないのです。
通貨は所詮、商品を交換する道具に過ぎません。
通貨自体に価値があるわけではないのです。
道具として考えれば、その発行は、景気を良くするための、方法に過ぎませんから、柔軟に考えるべきということになります。

このように考えて来ると、政府の通貨発行権の話も、軟らかい頭で受け入れやすくなります。

ヴェーラのエピソードを通じて私が言いたいのは、現在の日本では、政府の通貨発行権を用いた経済活性化が可能であるということです。
ヴェーラのような民間発行通貨ですら、経済活性化に有効だったのですから、もっと大きな信用のある政府の通貨発行権を活用すれば、景気の活性化は更に簡単なはずです。

 原理的に言うならば、私たち1人1人に、その信用に見合った通貨発行権が与えられています。
この個人の通貨発行権は、乱用されると社会の混乱をもたらしますから、これを一時的に国家に預けた形にしてあるのが、現在の管理通貨制度です。
日本では、日本銀行と中央政府にのみ、通貨発行権があるのはこのためです。

しかし、これらの通貨発行権は、もともと国民に与えられた権利であり、それを二つの国家機関が代行しているに過ぎません。
通貨発行権は、天下り的に日銀が独占しているものであってはいけないのです。
通貨発行権は、国家が国民の幸福の為に、経済成長の為に、積極的に活用しなければならない権利です。
なぜならそれは、国民から国家に付託されたものだからです。
これは、「国防権」イコール「武装権」と並行して考えることができます。
我々1人1人に、自己防衛=正当防衛の権利があります。
原則的に言えば、個人は武装して自らの安全を守る権利があります。

しかしこれが乱用されると、社会が混乱しますから、これを国家に預けることによって、警察や軍隊の武装権が成立するのです。

ですから、民主国家においては、警察や軍隊の武力は、国民の安全を守り法秩序を維持するためにのみ、発動することが許されます。
国家の通貨発行権についても、同様のことが出来るのです。


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↑ 藤井厳喜、次回作です!8月6日発売予定のAmericaウォッチング本です!! 




【藤井厳喜アカデミー関係動画・復習用の動画再生リストが出来ました】

 ■ 再生リスト【第1弾・藤井厳喜アカデミー国民の為の政治学講座・全篇
 http://www.youtube.com/watch?v?=zn5eCTbgHxc&list=PL72D9C8776C?E15846
 2010年2月1日開校のガイダンスから全12回講義、補講までの全講座をまとめました。

 ■ 再生リスト2 【近現代世界の国際秩序の変遷:新しい世界史
 http://www.youtube.com/playlis?t?list=PLE25877D424835D45
  こちらは、2010年1月20日の藤井厳喜・講演会で「近現代世界の国際秩序の変遷」について  語ったものを、改めてリストにまとめてみました。
 この日、私が伝えたかった事は、歴史的な時系列を振り返り、日本が大局的に言って、  国際関係のどのようなポジションにいるかという事です。
  米ソ冷戦後の世界にの権力構造がどのようなものになるか、という点を大胆な仮説も含めて、語らせてもらいました。
ここで取り上げる動画は限られた時間の講演の中の一部の内容ですが、大学で私の『国際関係論』や『新しい世界史』の授業を受講される方のご参考にもなればと思い、取り上げます。

 ■ 再生リスト3 【第2弾・藤井厳喜アカデミー 経済篇(随時更新)
 http://www.youtube.com/my_playlists?p=E4F42E64ED2C36F7
 随時、更新してゆきます。



↑ 6月24日・いよいよ新刊発売決定!!




※ 藤井厳喜へのメッセージ、講演や仕事等の依頼も、以下アドレスまでお願いいたします。

ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ事務局e-mail : info.cfg.future@gmail.com

★ 【 Cambridge Forcust Group of Japan.Co 藤井厳喜チャンネル】
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《お知らせ:藤井厳喜・新刊 6月24日、いよいよ発売 》
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超大恐慌の時代 』 藤井厳喜・著 (日本文芸社

 大変、好評につき、発売、忽ち、増刷が決定いたしました!! 
ご支援、誠に有難うございます。既に一部、品切れとなっているお店もあるようですが、随時、搬入されるとのことですので、是非、ご注文ください。宜しくお願いいたします。

 世界経済を冷静に観察すると、日米欧中、みな揃って、景気が下降していることが分かります。特に日本においては、日本銀行と民主党政権がデタラメな経済政策を実行しているので、このままでは二番底に陥ることは確実です。
3・11の東日本大震災と、福島原発事故は、事態を更に悪化させてしまいました。
 リアルに世界経済の現状を分析した本ですが、勿論、日本が最後のババを引かない為にどうしたらよいのかの対応策についても論じています。分かりやすく、図表もたくさん入れてありますので、経済が苦手という方も是非、手にとって、読んでみて下さい。
2011年に入ってからの中東騒乱も含む、最新情勢までカバーしてあります。


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 ↑ 好評発売中!是非、御感想をお寄せ下さい♪ 
「日本はニッポン!」特設ページ( http://www.sowa.ne.jp/nippon/ )も出来ました。






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