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米オバマ政権の変質―米露印・連携の確立と内政の混乱(動画解説付)

投稿日:2010,12,17

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米オバマ政権は、2010年11月に非常に大きく変質、変身してきた。

外交・内政の両面で、2008年に大統領選挙に勝利した時に期待された方向性とは全く異なった政権になってきたのだ。

この事を、久しぶりに動画で詳しく解説させて頂きました。


YouTube: http://www.youtube.com/watch?v=zo7S1GJCNG4 
 ニコニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm13047380 

先ず第一に、外交だが、アメリカはロシアとインドと連携して、チャイナと対立する方向に大きく外交路線を転換した。

この路線転換は、1オバマ政権の外交方針の変質ではなく、恐らく今後、10年、20年、アメリカ外交の基本方針となるものであろう。

外交的な節目になった日付が2つある。
先ず11月6日にオバマ大統領はインドを訪問し、インドと戦略的な提携関係を結んだ。

インド訪問直後に訪問したパキスタンに対しては、極めて冷淡であった。
パキスタンとチャイナが外交的に連携している事は周知の事実である。

次の節目は11月20日である。
この日、NATO首脳とロシア首脳の会談があり、アメリカを含むNATOと、ロシアは大きく協力と和解の方向にその外交方針を転換した。

二つの点が重要である。
第一は、ミサイル防衛に関して基本的な協力が合意された。
第二に、アフガニスタンにおける戦争に関して、NATOが必要な物資をロシア・中央アジアルートで輸送することができるようになった。

つまりロシアが、NATOのアフガン戦争に兵站面で協力することになったのである。
NATO軍がアフガン戦争を終了して撤退する場合も、この「ロシア・中央アジアルート」を利用できる事が決定した。
従来の主要兵站ルートはパキスタン経由であり、ロシアであったが、ロシア・中央アジアルートを使えば、輸送経費はパキスタンルートの3分の1しかかからない。

いずれにしろ、これらの決定の背後にあるのは、アメリカとロシアが大きく戦略的な和解と協力の方向に動いたという事実である。

 総体として見るならば、アメリカとロシアとインドは、大きく連携し、チャイナやイスラム原理主義と対峙してゆく事になる。

つまり非常に大きな世界のパワー・ストラクチャーの転換が2010年11月に起きたのである。

 目を転じてアメリカの内政を見ると、オバマ政権は11月の中間選挙の敗北もあり、大きく変質する事を余儀なくされた。
米下院で共和党が多数派になった事から、前ブッシュ政権の富裕層優遇税制の2年延長に同意せざるをえなかった。
これに対するアメリカ貧困層の反発は激しく、米主要都市で反オバマの抗議運動が起きている。

 残念ながら、米マスコミも、あまりこの事を報道していないようである。

また、議会では反FRBの下院議員が、FRBを監視する小委員会の委員長にも就任している。
つまり、オバマ政権は、右からは共和党に攻撃され、左からは従来の支持層である貧困層と下層中産階級から批判されるという板挟みに苦しんでいる。

 ボン・ジョビというロック歌手をホワイトハウスの諮問委員会のメンバーに使命した事などは、貧困層をなだめる為の人気取りパフォーマンス政策であろう。



 オバマ政権の外交上の方向転換を象徴するような事件が12月10日に起きた。

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↑ Richard Holbrooke アフガニスタン・パキスタン特使 

(既に、10日の私のTwitterをご覧になられていた方には重複する話だが…。)
アフガニスタン・パキスタン特使である、国務省高官のリチャード・ホルブルックが大動脈瘤で倒れ、入院したのである。
大手術をしたが、13日に彼は他界している。

 16日にはアフガン政策の見直しを発表する予定であった。

ホルブルック自身はかなりタカ派の人間として知られているが、この死が物語るのは、オバマ政権のアフガニスタン政策が巧くいっておらず、ホルブルックのような関係者に肉体的にも心理的にも大きな負担がかかっていたであろう、という事実である。

 また同じ、12月10日には、ガイトナー米財務長官が、これは軽傷ではあったが、腎臓結石で首都ワシントンの同じ病院に入院し、翌日退院している。
財政政策の方も、赤字が拡大し、FRBが米国債の最大の引きうけてとなるなど、アメリカ経済の運営は厳しい局面に入っている。

国債の大量発行が原因となり、金利が上昇するという、最悪のパターンが現実になってきている。
景気回復で金利が上昇するのではなく、国債の大量発行が国家財政への不安と結びつき、金利が上昇し始めているのである。

 FRBが米国債の更なる大量購入を決めたのも、11月上旬であった。

 FRBに関しても、共和党の草の根保守派からの批判と、民主党左派からの批判が同時に惹起されている。
共に、オバマ政権による巨大金融資本の救済を、米国民を無視したものとして、批判しているのである。

オバマ政権は、左右からの十字砲火の標的となっている。




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