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【藤井厳喜アカデミー】国民の為の政治学・第6講「政党の役割とは何だろう?」(全7本)

投稿日:2010,03,19

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本日は、チャンネル桜・キャスターの日。
朝からチャンネル桜に行き、収録をしてまいりました。(本日、夜、放映)
収録後、ミーティングがあり、その後、神奈川県県民センターで、5時半から講演会。
その為、本日の政治学講座は、少し早目の時間に映像を公開し、UPさせて頂きました。

 藤井厳喜アカデミーの政治学講座もいよいよ第6講配信まで進んでまいりました。

さて、今回のテーマは、「政党の役割とは何だろう?」です。

【『藤井厳喜アカデミー』講義要項案―「国民の為の政治学」カリキュラム】ファイルをダウンロード
※ 随時、12回の正規講義に加え、適宜、必要に応じ、より詳しい補足講義でフォローアップする事もあります。

 ※ 「今回、はじめて藤井厳喜アカデミーを知りました! 最初(ガイダンスも含む)から勉強したいです」という方は、このブログの『カテゴリー: 「藤井厳喜アカデミー」』をソートして頂ければ、最初から整理された一覧状態で学んで頂く事が容易だと思います。
 全く、この講座を御存じない方に、ご紹介して頂く場合は、このアドレスを【藤井厳喜アカデミー・ブログ http://www.gemki-fujii.com/blog/cat67/ 】ご紹介頂けますと、分かりやすいかと思います。 

「国民の為の政治学」全体のカリキュラムは以下に示す通りです。
【『藤井厳喜アカデミー』講義要項案―「国民の為の政治学」カリキュラム】ファイルをダウンロード


 今回のテーマは、政党の果たすべき役割です。

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 19世紀から、先進国で誕生してきたマス・デモクラシー(大衆の参加による民主政治)においては、政党の果たす役割は決定的に重要です。

 政党が国民の要求や利益を吸い上げ(集約し)、整合的な政策をとることなしには、マス・デモクラシーにおける国家統治は巧く機能しません。
政党は、国家制度の一部ではなく、あくまでも私的な存在ですが、同時にマス・デモクラシーに不可欠な、公的な役割を果たしています。

 政党は、当然の事ながら複数、存在する事により、デモクラシーを機能させます。
政党には、国家統治という観点から見た場合、肯定的な役割と否定的な役割の二つがあります。
肯定的な役割とは、前述したように、政党を通じて、国民がより機能的に国家統治に参加できる事です。
否定的な役割とは、複数の価値観の異なる政党が存在する事により、国家を分裂させる危険性が常に存在します。
政党は、英語では「Political Party」です。
この「Party」の意味を考えると、肯定否定の二つの意味が含まれている事が分かります。

Partyという言葉の意味には、人が集まる「人の集合体」という意味があります。
つまり宴会なども「Party」ですし、山登りのグループも、Partyと呼ばれます。
同時にPartyはPART(部分)という言葉と関係しており、全体の一部分に過ぎません。

人の集まりであるPartyは、国家から見ればその一部分にすぎない訳です。
しかし、このPartyに参加する事により、人は国家統治のプロセスに、Participate し、自分のPart(役割)を果たし、Take Part in する事が出来るのです。



1/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


日本人が理想形としているような二大政党制の存在は、歴史的にも地域的にも寧ろ、例外 的な存在といえるかもしれない。
   一般に、イギリスやアメリカは、典型的な二大政党制といわれているが、現在イギリスに は3つの主要政党が存在する。
アメリカでも、民主党一党支配の時代が1932年から6 8年まで続いていた。
アメリカ南部は、南北戦争の後から100年の間、ほぼ民主党の一 党支配であった。

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2/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


今日のマス・デモクラシー(大衆民主政治)において、政党が果たす役割は極めて重大である。
政党の中心的役割は、社会の様々な集団の利益を集約して、それを整合性のある政策体系に仕立てあげることである。
 この機能を「政党の利益集約機能」と呼んでいる。

これに対して、圧力団体(利益団体) は、それぞれの利益をまとめて政府や政党に直接、これを要求していけばよい。
これを「 利益表出機能」と呼んでいる。
 圧力団体が、利益表出機能を果たし、その明確化された利益を、政党が集約する事によっ て、政党は国家統治の重要な中間機構として作用する事が出来る。


3/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


大衆デモクラシーの時代において、利益団体や政党は、国民が政治に参加する為の、媒介機構として重要な役割を果たしている。
 国民は、選挙において一票を投じる事が出来るが、それだけでは十分な政治参加をしてい るとは言い難い。
利益団体に関わる事によって、自らの主に経済的利益を明確化し、この 利益団体を通じて政党に様々な圧力をかける事が出来る。
そして、政党の政策に影響力を 与える事によって、間接的に国家の政策に影響力を行使する事が出来る。
 国家の統治機構と国民の間を繋ぐ、中間機構として、政党は重要な役割を果たしている。
それは国民の政治参加の為に欠かすことのできない手段(媒体)を提供している。


4/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]

 
 政党には、その思想傾向から言って、大きく分けて2つのタイプが存在する。
1つは保守主義政党である。もう1つは進歩主義政党である。
政策分野を3つに分けて考えると、こ の2つの政党の政策の違いをハッキリと把握する事が出来る。
国防外交政策においては、 保守主義政党はタカ派的であり、進歩主義政党はハト派的である。
 経済政策においては、保守主義政党は、自由経済重視派であり、経済行動での自己責任を 重視する。
逆に進歩主義政党は、福祉政策重視であり、企業行動の自由を制約しても、福 祉政策の充実を重視する。
 文化教育政策においては、保守主義政党は当然、伝統文化を重視する立場である。
進歩主 義政党は、伝統を抑圧的なものと捉え、それからの個人の自由の開放を重視する。


5/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


 アメリカの政治学者JAMES・Q・WILSONは、政策形成を、そのコスト(費用) とベネフィット(利益)の広さと狭さから、4つのパターンに類型化している。

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1. 多数派政治:知覚されるコストが国民の間に広く分布し、かつ知覚されるベネフィットも 広く分布している場合、これを多数派政治と呼んでいる。
 例えば、外交国防政策や、社会保障政策などは概ねこのパターンである。

2. クライアント政治: これは、国民全体のコストによって、国民の一部(利益団体)がベネフィットを被るような政策形成である。
例えば、一部の特定の農産物を保護する為に、国が高い税金を競争相 手の輸入品にかけるような場合がこれである。

3. 起業家的政治: このネーミングが適当であるとは思われないが、国民全体に利益をもたらすような政策を、一部の国民が負担してこれを実現しようとする場合がこのパターンである。
 例えば今、2010年3月現在、外国人参政権法案阻止の為に、ボランティアの国民が立ち上って運動をしている。
これらの人々は、自分達に対する直接の利益の為ではなく、国民全体の幅広い利益の為に、自分達がコストを負担して運動をしているのである。
こういった形の政治、もしくくは政策形成を、起業家的政治とよぶ。

4. 利益団体政治: これは、コストもベネフィットも、国民全体は関係がなく、一部の利益団体同士のゼロサムゲームになるような場合である。
例えば、ある業界において、企業団体と労働組合が対決しているような場合が典型的である。
労働組合に有利な最低賃金等の法律を作れば、そのベネフィットは当然、労働組合が手にするが、そのコストは企業団体が負担する事になる。

大体の政策形成は以上、4つのパターンに分類して考える事が出来る。


6/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


例えば、4つの政策パターンについて、更に解説する。
外交政策は、一般に多数派政治のカテゴリーに入る。しかし例外もある。
 例えばアメリカ外交においては、様々な移民グループが、自らの出身国に有利なようにアメリカ外交を動 かそうとする。
例えば、ユダヤ系アメリカ人はアメリカの中東外交をイスラエル寄りにしようと努力するし、アラブ系アメリカ人は、アメリカ外交をアラブ寄りにしようと働きかける。
このような観点から見れば、この政策決定は、利益団体政治のカテゴリーに入る。
 現在の日本における外国人参政権問題は、これを推進する民主党の側から見れば、典型的 なクライアント政治であろう。在日韓国人を中心とする新有権者という「クライアント」を獲得する為に、国民全体にコストの負担を求めている訳である。
 これに反対する運動は、前項でも取り上げたように、起業家的政治のカテゴリーに入る。
 国民全体の利益を守る為に、草の根の運動家がコストを負担して運動を展開しているのである。このように、同じ政策課題であっても、立場とモノの見方によって、分類の仕方が異なってくる。


7/7 【国民の為の政治学】第6講 政党の役割とは何だろう??[H22/3/19]


 政党の役割そのものとは直接関係ないが、政策決定のパターンと関連して、一般的な「決定作成(ディシジョン・メーキング)」の分析もここで提示しておきたい。

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決定作成は、典型的には以下の2つのパターンに分類されている。

第1は、単一主体モデルである。
これは国家や1つの組織の為に、ごく少数の人間が、最終的にはTOPリーダー1人が行なう決定作成である。
決定内容は、国家もしくは組織の死活的利益に関わる場合で、決定に使える時間は極めて短い。時間の少なさが決定作成に参加するものの数を少数に確定する。

第2の決定作成のパターンは政治過程モデルである。
ここにおいては、一人のリーダーが 全体の利益の為に、決定を行なうのではなく、様々な集団が、それぞれの集団の利益を代 表して、政治交渉に参加し、決定は妥協の産物として行なわれる。
決定に使える時間は極 めて長く、国家もしくは組織の死活的利益には関わらない課題が、その対象となるのが普通である。
平時における国家予算の決定などは、この政治過程モデルの典型的なものである。

詳しくは、『危機の指導者―検証・同時テロと大統領のリーダーシップ 』P165参照





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↑↑ こちらは以前、私が「危機管理論」の教科書として執筆したものです。意志決定モデル等、色々な概念枠組モデルを書き表しました。