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鳩山外交の大失敗 ‐ 「友愛外交」の本質?

投稿日:2009,10,06


鳩山由紀夫首相の祖父、鳩山一郎首相が外交で大失敗をした歴史上の事実を紹介したいと思う。
鳩山首相の愚かさのゆえに、日本は北方領土を取り戻す絶好のチャンスを失ったのである。

大東亜戦争敗戦直後、首相の座を目前にしていた鳩山一郎は、占領軍に公職追放され、首相の座を吉田茂に譲った。
吉田は外交官としての経験を生かして、巧みに占領軍と渡り合った。
これはこれで、中々に立派な業績であった。

さて、パージ(公職追放)を解かれた鳩山は吉田に「かつての約束通り」首相の座を明け渡す事を要求した。
既に、長期政権の座にあった吉田は、「まだやる事が残っている」と権力の座の明け渡しを拒否した。
鳩山は、吉田内閣倒閣運動に走り、これに成功、鳩山は首相の座に就いた。


待望の首相となった鳩山は、吉田が出来なかったソ連との講和条約締結に意欲を燃やし、これに成功はした。
しかし、北方領土の返還はならず、当時まだシベリアに抑留中だった日本人捕虜の帰還も遅れた。

ここまでは、誰でもが知っている話である。
ここから先は、元外交官で後に外交評論家となった曽野明(その・あきら)氏の回顧談である。

曽野明氏は、吉田内閣下で、外務省のソ連課長を務めていた。
ソ連は日本との国交正常化を実は、大変に焦っていた。

何故か?
国交回復で日本に大使館を開き、大使館を拠点として情報収集と対日工作を行ないたかったからである。
冷戦激化の1950年代、ソ連は日本にスパイ(工作員)の拠点たる大使館を早く開きたくてたまらなかったのである。




ソ連は、日本との国交正常化し、早く日本に大使館を開こうと焦っていた。
共産国の大使館は、スパイ(工作員)の巣窟である事は外交上の常識である。
日米安保条約により、アメリカ軍は日本各地に基地を持ち、駐留しており、これらの状況を直接探りたいというのもソ連にとっての焦りを生んでいた大きな原因であろう。
極東の軍事情勢をより正確に把握する為には、日本に大使館を開く事はソ連邦にとっても焦眉の急であった。

また、日本における親ソ反米分子を焚きつけ、これを直接操る事も、大使館を開設すればより容易になる事が明らかである。
このソ連側の焦りを熟知していた吉田首相は、敢えて早期の国交正常化を急がず、ソ連側に最大の妥協を迫っていた。
ベテラン外交官の吉田ならではの手腕というべきであろう。

吉田外交の巧妙な交渉により、ソ連側は大使館開設の代償として、北方領土の返還、ならびにソ連抑留中の日本人捕虜の即時帰国を承認していた。
条約草案も整い、まさに日ロ両国がこれに調印しようとした時に、鳩山一郎の吉田内閣倒閣運動が実を結び、吉田内閣は崩壊してしまった。

これにより、日本は、北方四島返還を含む最大の外交上のチャンスを喪失してしまったのである。
勿論、吉田はこの事は、国家機密であるから鳩山には一言も継げなかった。
吉田が「まだやり残る事が残っている」と言っていたのは、単なる権力の座への固執ではなく、この北方領土返還の事だったのである。

当時、外務省ソ連課長であった曽野明は、これを直接、体験した人物であるから、彼の発言は信頼できるものであろう。
彼、曽野明氏はこの吉田外交の吉田の対ソ交渉が、国内の権力争いの為に、言い換えれば鳩山一郎という政治家個人の野心の為に、失敗に終わった事を悔みてもあまりある事である、と公の場で証言していた。
(曽野明氏がこの事を文書で残しているかについては、私は寡聞にして知らないが……)


こんな交渉経過を知らないで、首相の座に就いた鳩山一郎は吉田がアメリカや西側諸国との講和条約締結に成功したのなら、私はソ連との講和条約締結を実現しよう、という程度の軽薄な考えで、対ソ交渉に臨み、国交正常化は実現したが、肝心の北方領土返還の好機は完全に失われてしまった。

国内政治の派閥抗争には巧みだが、世界の外交交渉の経験を持たぬ鳩山はソ連の焦りも見抜く事が出来ず、自ら下手に出てソ連との国交正常化を日本側から求めてしまった。
ソ連から見れば、渡りに船であり、一石二鳥三鳥の甚だ有利な外交交渉であった。
敵を利する外交を「友愛外交」とでも云うのであろうか?

更に付け加えるならば、鳩山は日本の大手水産会社から大量の政治資金を受け取っていた。
つまり、北方領土交渉を棚上げしても、北方領土における漁業権だけ確保すればよい、という水産会社からの要求を鳩山は受入れ、ソ連との安易な妥協に走ったのである。

水産会社の政治資金に買収された鳩山が、国益を売り渡す外交をした、と批難してもあながち過言ではないであろう。

吉田茂の対米重視の硬派の外交に対して、鳩山一郎は国内の反米左翼的勢力の要求も一部受け入れるという形で、自らの立場を差別化し、ソ連との安易な外交交渉に走った。
安易な大衆人気を得ようとする彼の浅はかさが、領土問題という重大問題で、日本に大打撃を与えたのである。
当時の「鳩山ブーム」の内実とは、このように誠にお寒いものであった。

マスコミで人気の無かった吉田茂に対して、鳩山は日本のマスコミに大いに歓迎され、担がれた政治家でもあったのである。
当時の「鳩山ブーム」という言葉がこれをよく表している。


私が、言いたいのはこれが現在にもオーバーラップして来るという事である。

小泉首相の過度に親米的な外交に反発する形で、対米自立を訴える鳩山由紀夫首相と岡田外相の外交は、真の日本の自立を目指さずして、対シナ従属外交に走ろうとしている。
現在の日本で、対米自立以上に重要なのが、対シナ自立である。

今日の日本の安全を脅かしている最大の外国は、アメリカではなくシナ帝国主義である。

この明々白々の単純な事実に目を背け、対米自立、もしくは対米対等化のスローガンの下に日本をシナの属国化しようとしているのが「鳩山・岡田外交」なのである。

鳩山首相の「東アジア共同体」への賛同は、祖父・鳩山一郎の対ソ国交正常化を何百倍も上回る売国奴外交に他ならない。



(注:曽野明の回顧談に関してはこのブログの読者でもある豊永高明さんから直接お聞きした話である。
京都における内外情勢調査会の京都支部での曽野明氏の講演で豊永さんが直接、その証言を確認している。)



【引続き、以下、動画の世界への拡散協力、宜しくお願いいたします!】
New Dangerous Cabinet Starts. [Ch-SAKURA October 1, 2009]


URL: http://www.youtube.com/watch?v=N5Y_Q2y1_-Q

Mr. Hatoyama has become a new prime minister of Japan and his cabinet has started.
But this new cabinet has quite dangerous foreign policy.
Mr. Hatoyama and Mr. Okada, minister of foreign affairs, are both pro-China and anti-U.S.
Mr. Hatoyama sometimes speaks like President Chavez of Venezuela.
Mr. Okada s family has big business stake in China.
Mr. Hatoyama and Mr. Okada are going to discard the cause of freedom and democracy; even though Chinese imperialism is the most dangerous element in East Asia.

Commentator is Gemki Fujii, lecturer at Japan's National Police Academy.
Please check his own web cite also at gemki fujii com.

(↓↓↓ 英語だけだと分かりにくいという方は此方 ↓↓↓)
【日本語字幕版】New Dangerous Cabinet Starts. [Ch-SAKURA October 3, 2009]


 先日公開した「厳喜に訊け!特別版:New Dangerous Cabinet Starts」の日本語字幕版です。
英語版と合わせて、多くの方 に見ていただけるようお願いいたします。
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