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続・米中共同支配体制の恐怖 ― 「六ヶ国協議と凋落するドル」

投稿日:2009,06,03


 【六ヶ国協議とは何か?


 ゲーツ米国防長官は北朝鮮が六カ国協議に復帰することを期待するという。
六ヶ国協議に北朝鮮が復帰しても、北朝鮮が自ら開発した核兵器を放棄する可能性は殆どゼロである。



 六ヶ国協議の存在意義とは一体何なのだろうか?

六ヶ国協議に北朝鮮が復帰している限りにおいて、他の5ヶ国は北朝鮮が突発的な侵略行動に走らないという安心を得る事ができる。
その為に、北朝鮮の核武装を阻止することが出来ないのが明白であるにもかかわらず、六ヶ国協議は継続しているのである。

 もう少し詳しく見れば、アメリカ、シナ、ロシア、韓国には、それぞれかなり異なった思惑があり、異なった理由で六ヶ国協議に参加している。
いわば呉越同舟である。

 例えばアメリカに関していえば、アメリカ議会なりアメリカ世論に対して、オバマ政権が北朝鮮の核武装を防ごうとしているのだというポーズを六ヶ国協議参加を通じて見せることが出来る。
話し合いを継続している、平和裏に北朝鮮に圧力をかけその核武装を防ごうとしている、そのようなポーズを議会や世論に対して見せることが出来る。
それがオバマ政権にとって六ヶ国協議を継続している一つの国内向けの意義である。

 シナにはシナ、ロシアにはロシア、韓国には韓国のそれぞれ別の思惑と理由があって六ヶ国協議は継続しているといえるのであろう。



 六ヶ国協議で最もメリットが少ないのが日本である。
六ヶ国協議は日本にとっては、北朝鮮を除く他の四カ国、つまり米露中韓の情報を収集する場という以外に殆どその存在意義はない。
六ヶ国協議は単に話し合いのための話し合いを継続しているに過ぎない。

 北朝鮮は国際的圧力を嫌えば、この六ヶ国協議から飛び出し、ミサイル実験でも核実験でも自由に行うことが出来る。
そして、他の五ヶ国、つまり日米中韓露の五ヶ国がいかなることがあっても決して北朝鮮に直接の軍事行動を取ることはないと確信している。

だから、核実験でもミサイル実験でも実行した後に、事実上の核保有国としてまた、六ヶ国協議に復帰することが出来るわけである。


 さらに、マクロ的な視点から考えてみると、六ヶ国協議は北朝鮮を封じ込める体制ではなく、寧ろ日本を封じ込める国際協調体制であることが見えてくる。

 北朝鮮の核の脅威を最も直接的に受けている日本が、六ヶ国協議に参加している限り、独自の抑止力を開発したり、北朝鮮に対する単独の核基地攻撃などを行うことは出来ない。
米中韓露の四ヶ国は日本が自らの独自の抑止力を高め、さらには北朝鮮の脅威に独自に対処する行動を徹底的に阻止している。

 さらに、シンボリックにいえば、六ヶ国協議は他の五ヶ国の共同謀議による日本核武装阻止の国際秩序ですらある。

六ヶ国協議は日本の国防に対する巨大な桎梏として機能している。




【 シナに支えられる基軸通貨ドル 】 

 6月2日付、ファイナンシャルタイムズ紙・アジア版の第一面に北京におけるガイトナー米財務長官の大きな写真が掲載されている。

その記事のタイトルは『 US dollar backed as reserve currency 』。
その意味は、「米ドルが準備通貨として支持された」ということである。

 では誰が、支持したのか?

シナ共産党政府である。

この記事のサブタイトルを見ると、
シナ政府高官は、ただちにドルに取って代わるものはないと発言、ガイトナー北京到着時のコメント』となっている。

アメリカは、シナの支持を得て、ドルの基軸通貨としての地位をようやく保っているということである。

 これほど露骨に現在の米中の力関係を表した新聞の見出しは他にないだろう。
正直言って私はこの英語の見出しを見て、かなりのショックを受けた。


 昨日のブログでも述べたように、日本人はこの冷徹な事実に気がつかなければならない。