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夕刊フジ連載『激動する世界と日本』連載3日目「崩壊するユーロ ドイツ離脱の可能性も」

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夕刊フジ連載『激動する世界と日本』連載3日目「崩壊するユーロ ドイツ離脱の可能性も」

8月13日から開始の夕刊フジ新連載【激動する世界と日本】の3日目記事が掲載されました





「崩壊するユーロ ドイツ離脱の可能性も」

ZAKZAK版はコチラ : http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120816/plt1208160743003-n1.htm

8月2日に開かれた欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、ユーロ危機への本格的な対策は、何も決定されなかった。イタリアのモンティ首相は、ユーロ圏各国を歴訪し、イタリア救済のために必死の説得を続けている。だが、各国の反応は極めて冷淡だ。

 ドラギECB総裁や、EU首脳たちは事あるごとに「ユーロを守るためなら、あらゆる手段をとる覚悟がある」と強調するが、単なるリップサービスである。具体的な対策は何ら取られていない。欧州はすでに、長い夏休みに入っており、本格的な対策が取られるにしても、9月以降である。

 最も抜本的な解決策は、9月に誕生する欧州安定メカニズム(ESM)に銀行免許を与え、ECBがESMに対して必要な資金供給を行うことである。こうすれば、ESMはスペインやギリシャなどの国債を直接買い取り、これを担保にしてECBから借り入れを行うことができる。

 ESMがトンネル機関となり、事実上、ECBの無制限の信用力を利用して、ユーロ圏の国債を無制限に買い取ることができるのだ。いかなる金融危機にも対処できることは分かっているのだが、財政規律にこだわるドイツが強力に反対しており、実現はとても不可能な状況といえる。

 格付け会社ムーディーズは、かつて優等生と見なされていたドイツ、オランダ、ルクセンブルク3国の格付け見通しを引き下げた。ギリシャ、スペイン、イタリアなど、重債務国への貸し手側のリスクも拡大しているのである。ユーロ暴落が迫っている。

 重債務国に貸し付けた責任はドイツの銀行にもある。そして、重債務国救済はすなわち、ドイツの銀行の救済でもある。本来、ドイツの政治家は、この事実を明らかにして「重債務国救済はイコールドイツ救済であること」を自国民に説明しなければならないはずである。ところが彼らはこの責任から全く逃避している。

 6月に誕生したギリシャの新政権は、財政緊縮策の受け入れに強烈に反対している。恐らく、2013年中には、ギリシャのユーロ離脱が決定的になるだろう。

 一方、逆に、ドイツのみがユーロ圏を離脱するという可能性も存在する。債務国救済にカネを出したくないドイツの究極の選択である。ドイツ連銀(中央銀行)が9月から日本国債の購入を始める。ユーロ崩壊時の保険として、外貨準備を多様化する方法の一環であろう。

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