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夕刊フジ連載2日目【激動する世界と日本】米大統領選…ロムニー勝利なら日本無視


夕刊フジ連載2日目【激動する世界と日本】米大統領選…ロムニー勝利なら日本無視

8月13日から開始の夕刊フジ新連載【激動する世界と日本】の2日目記事が掲載されました。



翌日、14日にはネット版ZAKZAKでも公開
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120815/plt1208150701001-n1.htm



【激動する世界と日本】米大統領選…ロムニー勝利なら日本無視


日本にも大きな影響を及ぼす米大統領選の投票日は11月6日である。オバマ大統領の続投か、あるいは共和党のロムニー候補の勝利か。

 ロムニー氏が勝てば、米中新冷戦の様相がますます明確になり、当然、日本も同盟国として、中国に対抗する現実的な国防政策を取らなければならなくなる。ところが、ロムニー氏が日本を重視しているかといえば、全くそうではない。彼の政策構想では、日本はほとんど無視されている。

 自由貿易推進を掲げるロムニー氏だが、日本のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加に反対である。理由は、日本のTPP参加が、競争力で劣る米自動車産業に大きなダメージを与えるからだ。対中警戒論を主張しながら、彼が最も重視する戦略的パートナーはインドである。

 ロムニー氏は9日、「われわれは10年以上も衰退と低迷の中に苦しむ日本のような国にはならない」と発言し、物議を醸した。これは一部メディアが伝えるような反日発言ではない。オバマ大統領も2009年に「日本は10年の長期にわたる衰退に苦しんでいる」と発言している。米国人の日本観の最大公約数といえる。

 各種の世論調査では、オバマ大統領が5?7%くらい先行しているが、この程度の差は逆転可能である。

 ロムニー氏は11日、自らの副大統領候補にポール・ライアン下院予算委員長(40)を指名した。ロムニー氏はまじめすぎる人柄や政策の一貫性のなさが災いして、大衆人気に乏しい。それに対しライアンは、共和党若手のホープで、財政赤字の削減を強力に訴えてきた。彼の指名で党内保守派はまとまるが、本選挙では逆に、低所得者層の反発を招くだろう。共和党が勝てば、財政赤字削減を進め、強いドルが復活するだろう。

 オバマ政権が継続すれば、バフェット増税と呼ばれる年収100万ドル以上の所得者に対する増税を実行するだろう。ブッシュ減税とオバマ大統領のとった景気対策(給与減税、失業保険の延長など)は、今年年末に期限切れを迎える。これがいわゆる「財政の崖(フィスカル・クリフ)」と呼ばれる現象である。

 議会選挙で民主党が勝てば、連邦財政赤字の上限を引き上げて、財政支出拡大により景気対策を図るので、ドル安となる。しかし、民主党が議会選挙で負ければ、オバマ政権が継続しても、大統領府と議会のねじれ現象が起きてしまい、政策の決定自体が不可能になる。「決められない政治」という「日本化」現象が起きてしまう。これが最悪のケースである。

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