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「正論を聞く集い」で「オバマ米・新政権と今後の日米関係」を講演


「正論を聞く集い」で「オバマ米・新政権と今後の日米関係」を講演

2009年6月17日(水)午後6時半から「正論を聞く集い」で講演させていただいた。

三輪和雄さん主催のこの会で年に1度は日本外交の展望について話をさせて頂いている。
通常は1月にその年の外交展望と題してお話させていただくのだが、今年は様々な理由で6月のスケジュールになってしまった。

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 今日はアメリカのオバマ政権と日米関係の今後の見通しについてお話させていただいた。
表面上ではオバマ政権の外交は前ブッシュ政権の外交とそれ程大きく変わっていないように見える。

  しかし、これは大きな誤解である。

 恐らくオバマ政権は今後、東アジア外交に関しては、チャイナ重視の姿勢に強く傾いていくだろう。
また、オバマ政権はその第1期目に北朝鮮との外交関係を樹立するであろう。
東アジアは米中の共同管理体制となり、日本はその狭間に埋もれてしまう事になるだろう。

以上のような点については、このブログ上でも何回か指摘してきたと記憶している。

 ブッシュ・ジュニアの政権がスタートした2001年1月に、私は今日のような状況になるのを恐れ、その事の警告を様々な場所で発してきた。

当時私が言っていた事は、
「ブッシュ政権が続く2期8年のうちに最低限、日本は集団自衛権を承認し、日米関係をより対等な同盟関係にまで格上げしなければならない。
ブッシュ政権の後にはほぼ確実に米・民主党のリベラルな政権が誕生するであろうし、この政権はクリントン政権同様にチャイナを重視し、米中蜜月時代が再び到来するであろう。
日本が埋没しない為には日本重視のブッシュ共和党政権が継続している間に、日本の存在価値を高め、日米関係を真の同盟関係にまで格上げする必要がある」
ということであった。

残念ながら日本は、ブッシュ政権2期8年の間に集団自衛権を承認せず、今まさに日本は米中の狭間に埋没する存在となりつつある。
予期し、心配していた事がそのままに実現してしまい、私としては何とも憤懣やるかたの無い思いである。

世界最大の外貨保有国であるチャイナはアメリカに対して経済的に有利な立場にある。
アメリカは米国債を売り、ドルの価値を維持していく為に、常にチャイナに気を配らなければならない。
日本もチャイナと同等以上の経済的優位性をアメリカに対して持っているが、日本はこれを決して政治的影響力に転換しようとはしない。
それゆえアメリカは日本を属国的な存在とみなし、日本に政治的妥協をしようとはしない。
この全く逆がチャイナである。

日本は全く政治的意思を失った宦官の様な国家として漂流しているとしか思えない。

オバマ政権に関しては、一見この清新な極左とさえ言える政権が実はアメリカ金融界の太い紐付きである点も指摘しておいた。
実際、オバマが実行しているのは、公的資金を通じた金融機関やGMに代表される大企業の救済であり、アメリカ財界にとってこれほど優しい政権は無いわけである。
昨年の大統領選挙で共和党のマケイン候補が勝っていたら、寧ろ金融機関や大企業の救済には冷淡であり、潰すべき企業はドンドン潰していたかもしれない。

マケイン氏はアメリカ大企業にもおもねらない独立の候補者であり、アメリカ財界にとってはオバマ氏よりも寧ろ冷たい存在であったに違いない。
オバマは失業救済の美名の下に、公的資金をふんだんにばら撒いてアメリカ企業社会を救済し続けている。
アメリカ財界としても、経済危機を乗り越える為に、国民の同意を得なければならず、その為にはオバマ氏のように黒人で勤労者階級の代表と見えるような政治家を国のTOPの地位につける必要があったのであろう。
大体、そんな話を今晩はさせていただいた。

この会は、大変知的レベルも高く、情報に敏感な人々が多いので、質疑応答も非常に活発に行なわれた。
大学でやっている授業よりも聴衆のレベルは数段上であったといわざるを得ない。

2次会でも質問や熱い議論が続き、あっという間に2時間が過ぎてしまった。
会長の三輪さんのいつもながらの気配りには、心から感謝している。

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意識の高い聴衆なので、持参した本等も大変、反響が高かった。

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