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「国家」の逆襲 グローバリズム終焉に向かう世界 (祥伝社新書) (新書)

  • 祥伝社
  • 864円
新書: 251ページ
出版社: 祥伝社(2016/8/1)
ISBN-10: 4396114745
ISBN-13: 978-4396114749
発売日: 2016/8/1

イギリスのEU離脱、パナマ文書公開によるタックスヘイブンの崩壊、アメリカ大統領選挙における「トランプ」現象、中国の軍事侵略―

一見、脈絡がないように見えるこれらの事象は、大きな水脈で、一つにつながっている。
それはグローバリズムの崩壊と、「国家」の台頭である。

ナショナリズムとは、国民国家を基盤とした国家主義、国民主義のことだ。かつて世界が目指した「国境なき世界」は壁に突き当たり、時代の流れは、明らかに変わってきている。




【『 「国家」の逆襲 グローバリズム終焉に向かう世界(祥伝社新書) (祥伝社新書 474) 』 章立て

序章 「国家」の逆襲
第1章 トランプ現象とは何か
第2章 パナマ文書が暴いた世界
第3章 イギリスEU離脱の衝撃
第4章 EU共同体幻想論の崩壊
第5章 難民流入とEU崩壊
第6章 ドイツ発ヨーロッパ危機
第7章 チャイナ経済バブル崩壊
第8章 チャイナの軍事膨張主義







『「国家」の逆襲』まえがき より

 グローバリズムの時代が終わり、ネオ・ナショナリズム(新国家主義)の時代が到来している。市場に対して、国家が優位を占める時代が再び来ようとしている。

 過去30年間、国際情勢の主流となってきたのはグローバリズムであった。

そのグローバリズムとは、国家に対して市場が優先するという意味の、市場至上主義でもあった。

この間、国家という政治的独立単位はないがしろにされ続けてきた。

国境を無視して、「モノ、カネ、ヒト」が自由に往来する世界こそが、理想の世界であるとされてきた。
ところがこのグローバリズム、特に金融グローバリズムに明らかな危機が到来したのが2008年のリーマンショックであった。
これ以降、アメリカは速やかに、金融再規制の方向に国家の舵を切った。
レッセフェール的な金融政策は最早、過去のものとなった。
2015年以来、ヨーロッパを襲っている難民危機は、EUの統治能力の無能さと国家という政治単位の重要さを再びヨーロッパの人々に知らしめた。

 イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ現象、パナマ文書スキャンダル、難民流入に伴うEU共同体幻想の崩壊などは、皆、グローバリズムからナショナリズムへの世界の大きな構造変化の潮流を物語るものである。

 2014年7月からアメリカで施行されているFATCA(外国口座税務規律順守法: Foreign Account Tax Compliance Act)は世界の金融界に革命的な変化をもたらした。

本書ではこのテーマについては深く論じていないが、興味のある方は拙著『世界恐慌2.0が中国とユーロから始まった』(徳間書店)の第6章から第8章をお読みいただきたい。

 英国のEU離脱自体は、世界恐慌を引き起こすような大事件ではない。
しかし、ドイツ最大の銀行、「ドイツ銀行」が現在、経営危機にあり、国としてはイタリアの金融界が不良債権率が高く極めて脆弱な状態にある。

イギリスの後を追って、イタリアその他の国がEUを離脱する可能性が見えてきた。
ヨーロッパ発の金融危機が勃発すれば、バブル崩壊のチャイナ経済危機と合わせてリーマンショック級の金融危機が世界経済を襲う可能性も極めて高い。

2016年の後半から2017年にかけては、このような金融危機に我々は十分な備えをしなければならないだろう。


 本書では、ロシアや中東の動向については詳しく述べられなかったが、それは又、次の一書に機会をゆずる事としたい。

 本書では「ナショナリズム」という言葉を用いたが、これはあくまで日本語のナショナリズムである。

英語を話す人は、ナショナリズムやナショナリストという言葉は使わない方が無難である。
何故なら今日の英語の世界では、ナショナリズムというと、ナチズムのような思想を意味するからだ。
これは英語のナショナリズム本来の意味ではないが、今日の用法では、そのように解釈されているので、我々としてはそれに従うしかない。

では、日本人がいう「私はナショナリストです」という言葉を英語では何と言ったらいいか。
ナショナリストというという言葉の代わりに「愛国者(パトリオット)」という言葉を使うのが無難であり、又、正確である。それを補って「保守主義者(コンサーバティブ)」や「伝統主義者(トラディショナリスト)という言葉を使うのもいいだろう。英語を話す方は十分にお気を付け頂きたい。
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7月26日に放送のラヂオつくば #kgproject をアップしました。
今読むべき8月1日発売の新著「国家の逆襲」を、この放送でも詳しく解説しています。

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7月26日(火曜)KGプロジェクト音源URL: https://www.mixcloud.com/kennysuzuki18/kg-project20160726/

「国境なき世界」という幻想の崩壊!

 イギリスのEU離脱、パナマ文書公開によるタックスヘイブンの崩壊、アメリカ大統領選挙における「トランプ」現象、チャイナの軍事侵略ーーーーー

 一見、脈絡がないように見える、これらの事象は、大きな水脈で、一つに繋がっている。

 それはグローバリズムの崩壊と、「国家(ナショナリズム)」の台頭である。

ナショナリズムとは、国民国家を基盤とした国家主義、国民主義の事だ。

かつて世界が目指した「国境なき世界」は壁に突き当たり、時代の流れは、明らかに変わってきている。

藤井厳喜が長年、追い続けてきたタックスヘイブン規制の最新情報も、満載の最新作です。

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